20 2012 汎天子・織雅、訳者: デグチャリョフ・アルバート
ファイティング スピリットの抜粋、序文、九項



合気道を始めて間も無く母が亡くなったのでその頃の自分の成績はほとんど記憶がない。あまりにショックが大きくとても心細かった。母の面倒を十分見て上げられなかった後悔と、一番大切な人に独り置いて行かれた怒りで精神的に苦しめられていた。亡くなるその日の朝、部屋を覗くと母はもう声も出せないほどの痛みに苦しみ、もうそう長くないことがすぐに分かった。

救急車を呼ぶことも頭をよぎったが、ただただ涙が流れ声など出なかった。自分を奮い立たせ母に鎮痛剤を注射するのが精一杯だった。母の痛みは少しだけ治まったようだった。その日の夜いつものように薬を飲むとぐっすりと眠りにつき二度と目を覚ますことはなかった。

葬儀は色々と大変だった。最後の別れの瞬間涙が溢れ出した。それが私の流した最後の涙だ。父もとても悲しんでいた。父にとって母は大好きな女性でもあり、時に憎むべき敵でもあったにも関わらず。。。



すっかり日が昇り、雲一つない暖かな朝になっていた。             レミは空に太陽と月が一緒に見えるのが大好きだった。鳥たちがさえずる朝のこの時間はとても気持ちがよかった。カリーナはレミの手記を読んでいた。

ジャケンは朝の瞑想をしてすっきりして戻ってきた。

「あなたたちは一体いつ寝てるの?」

「心配しないで、時々寝てるわ。それより、レミは肉料理と野菜どちらを食べる日に優しくなると思う?」

「レミはたいてい食べた後は優しいよ。空腹だといらいらして何をするか分からないほど危険だよ。まぁ最近はそれでもマシになったとは思うけど。」

近くの木陰で物音がした。

「メドヴェドは起きたの?」

「もうとっくに起きてるよ!」メドヴェドは笑いながら大きな声で答えた。

「レミ、オオガメ島をいつ発つつもり?」

「あぁそのことね。。。今夜にでも出ようと思ってたけど明日に延期したわ。あなたはどうするつもり?」

「用があってロンドンに行くつもりだけど、それより面白いのは青湖だよね、どうして水がそんなに温かくなったんだろう。」

「鋭いわね。」 レミは一瞬微笑んですぐに真顔になった。

「どうしてなのかまだ何も分からないわ。もしかして水温を測ったの?」

「もちろんさ、怠け者のみなさんとは違ってね。一晩で一度も上がってるよ。」

「いつから測ってるの?」

「もう一年になるよ。オオガメ島を訪ねるときは必ずね。」

「一年前からって、なぜ?」

「あとで教えるよ。君は東京へ行く途中にどこか立ち寄るつもり?」メドヴェドは話題を変えた。

「ヨーロッパで2-3箇所訪ねる予定よ。色々確認したいことがあるから。留守の間カリーナの相手をよろしくね、彼女最近元気がないから。」

「余計なお世話よ!」カリーナは怒った顔をして窓の外を見つめた。                「それより郵便物が届いてるわよ。」カリーナは小包を抱えてやってくるジャケンの方に目をやりながら言った。

レミは箱を開けてじっくり中身を覗いていた。そして一通の手紙に目を奪われた。

「あぁ、準備するには十分時間があると思ったのに。。」レミは深くため息をついた。

「日本からの手紙よ。会議が1週間も早く開始になるって。可笑しいわ、こんなの初めて。しかも延期じゃなくて前倒しにするなんて。メドヴェドなんでだと思う?」

「最近おかしなことばかりだね。将軍の子孫であるあなたには私よりも分かるでしょう。」

「どうして急に私の家族のことを?」  レミはメドヴェドをじっとみつめた。           

「私の家族の歴史と何か関係あるってこと?行きたくなかったけどやっぱりエドワード・ハミルトンと話さないといけないのね。。一緒に行く?」

「いや、遠慮しておくよ。あそこの犬が怖いんだ。それと・・ここに残るカリーナのコーヒーも旨いし、居心地もいいしね。」

「どういうこと?」カリーナは怖い顔をしてメドヴェドに歩み寄った。

「なんでもないよ!君の美味しいケサヂア(南米のホットサンド)を食べたいなぁと思っただけだよ。」メドヴェドはごまかして答えた。            

「あなたたちお似合いね。」レミは楽しそうに言った。                       「ジャケン、ちょうど今から稽古の時間だから一緒に行きましょう。」

レミとジャケンは道場へ出かけて行った。

絵画: ヂューモン・アルチョム 

つづきます

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